小説書評 緻密な構成が素晴らしいSF 〜天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉:小川 一水〜

知人に紹介してもらった小説、「天冥の標」の一巻です。
「なんか面白い小説ない?」「天冥の標面白いよ」くらいのざっくりした紹介だったのでなんとなく読み始めました。

面白いです。

ああ、シナリオってこうやって作ると面白いのか、という技術が詰まっている感じがします。

まず主人公のカドムとアクリラが活躍するところから物語が始まります。
医師のカドム、身体能力に優れる海の一統<アンチヨークス>のアクリラ、二人がそれぞれ得意分野を活かして
街の問題を解決します。

こういうカドム、アクリラの個人が「親友」である関係と「立場」を活かした活動とが絡み合っているのが
とても面白い小説です。

↓の画像は上巻を半分ほど読んだ時点でまとめてみた相関図。
ネタバレと半分ほどしか読んでいないので解釈が間違っているかもしれない点はご注意ください。

天冥の標

水色が街、緑が立場、黄色が個人になっています。
出てくるキャラクターがそれぞれ「立場」と「個人」、
さらに大きい枠では「街」として行動している、ということです。

それらの関係が複雑に絡みあいつつも、そのどれもが領主<レクター>へと続いている(今後続いていきそう)。
今まで僕が作るキャラクターがなんだか薄っぺらかったのは、こういう「キャラクターとシナリオが有機的に繋がっている」
考え方ができていなかったのだろうと感じました。

この複雑な関係がどう収束していくのか、続きを楽しみにしています。

 

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下巻も楽しみ。

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